20.9世紀少年

花束を君に

B'z【NEW LOVE】#1「マイニューラブ」感想

 前回書いたアルバムの総評です

twentypointnine.hatenablog.com

 

こちらでアルバムそのものに概ね肯定的な感想を述べました

ただ、この総合評価を下すまでには大きな葛藤がありました

なので今回はdisろうとおもいます

僕が肯定的な評価を下すに至るまでの困惑と、虚しさ

そこを掘り下げたいと思います

 

一部のファンを不快にさせる部分もあるし、嫌な予感がするんだとしたらそれは正しいので読むことをお勧めしません

では一曲「マイニューラブ 」を聴いた感想です

NEW LOVE (初回生産限定盤) (CD+オリジナルTシャツ)

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最初は純粋に好きだっただけなのに

好きが行きすぎて評論家になってしまう

酷ければ自分の理想や自慢のうんちくを披露したいがために、好きなコンテンツをダシにする

それって本当に健全な愛なの?

好きなのは、「自分」そのものなんじゃないの?

B'zが好きな自分を鑑みて、たまにそんな疑問が湧いてしまうことがある

それを認めたうえで、自分のエゴを吐き出したくなる

 

僕のエゴ

 

「NEW LOVE」は若い世代に優しいアルバムだとは思えない

どちらかというと、B'z二人が自分の趣味を優先したアルバムだと思っているし、本人たちもそんなこと百も承知だと思う

 

「自分たちのやることは、必ずしも君の期待に期待に沿わないよ」

「だから、仮に今までの僕たちが好きだとしても、今からの僕らが好きになるとは限らない」

「そこで道を違うのなら、離れればいいんだ」

「それが一番自然な在り方であって、また別のLOVEを見つけりゃいいんだ」

そういう主張を「マイニューラブ」から感じたのよね

 

もう「ごもっともだな」としか思えなくてね

最近は取り立ててB'zを聞くわけじゃないし、新しく知ったことのほうがずっと無邪気に楽しめている自分がいる

事実そっちの方が健全な充実感を得られている一方、B'zからはそういうものを感じられなくなっている

 

それを他でもないB'zから指摘されると、もう何にも言うことがなくなってしまうわけです

しかも「NEW LOVE」一発目でそれですから、下手したら全部聴く気にもならなくなってしまう

実際、かなり当惑しました

虚しさすら感じた

ラストに持ってこられるよりもずっと良心的かもしれませんけどね

 

ただ、もっと寂しさを感じていることがある

B'zが若い人たちに刺激を与えるっていうモチベーション、欲求を完全に失ってるんじゃない?

そう思っちゃったのが何より残念で

 

僕が中学生の頃にガツん!とやられたB'zは、そのときすでに50前のオッサンだったのに

「なんだこのおっさん! 俺のこと歌ってんじゃん!! カッケェ!」

って思えたものがNEW LOVEからは感じられない

 

数ヶ月前にMr.Childrenの桜井さんが「重力と呼吸」を出して、その頃のインタビューでこんなニュアンスのことをおっしゃってたんですけど

若い人たちが自分たちを目標としようだなんて思えなくなるくらいすごいアルバム作ったつもり」

それは、ただ内にこもって親父趣味晒すってことじゃなくて、

同じ土俵に立って、ティーンの澄んだハートに届く浸透圧を俺らは出せるんだっていうことだったわけで

事実「重力と呼吸」は20代前半の自分の、まだすごく青い部分に力強く触れてくる

 

そういう念力みたいなものが

「DINOSAUR」までのアルバムにはあったはずの「青々しさ」が

「NEW LOVE」からはほとんど感じない

 

そりゃないよ!! やってよ!! お願いだよ!! できるんでしょ!?

 

I’m In NEW LOVE?

 

でも、こういう感情をB'zに押し付けたい、と思うのは「マイニューラブ」のなかでは否定されている

 

そして自分もどこかでそれに同意している

だから、上で述べたこと全てに虚しさを感じてしまうんです

 

長い歴史をもつB'zのカタログを眺めて、試行錯誤の系譜を論じるのは「B'zへの愛」ゆえの行動だと思っていたんだけど、今を生きるB'zからしたらそんなものなんの価値もないわけで

その齟齬が生まれた時点で、B'zは自分のアイデンティティそのものではなくなった

【ゼンブ】から【ただのイチブ】になっちゃった

 

「虚しさを受け止めて進め」と教えてくれたのもB'z

「それこそ強さだ、しなやかさだ」と教えてくれたのもB'z

ありがとうございます

 

僕は喜んで「B'zファン」をやめましょう

ぶっちゃけ次のアルバムも買うかわからないです

 

でも、「NEW LOVE」でズバッと本当のこと言ってくれて嬉しいなぁ

そんな感謝の念を抱いたこともまた真実

だから、もう一度聴きたいな、感想書きたいな

そう思った

 

この感情は「マイニューラブ」なんでしょうか?