20.9世紀少年

花束を君に

B'z「NEW LOVE」感想 -TAK MA兵、走る-

 

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はい、こんにちは

今回CD開封の儀を執り行うは、磯野家在住のタマちゃんです

貴重な時間を割いてくれてどうもありがとう

一聴したらもう疲れちゃってね、猫の手も借りたくなってしまったのです

そう、1年7ヶ月ぶりに発売されたB'zのニューアルバム「NEW LOVE」はなんだかブラックホールのように重い」アルバムでした

 

前作「DINOSAUR」のような、

B'zらしいキュートさ

快活さ

豪快さ

曲目のバリエーションがウワーーッと駆け抜けるような爽快さや楽しさは鳴りを潜め、

サウンドに溜め込まれた旨味の塊がひたすら重く潰れていくような感じ

それは魅力がないってことじゃなくて、

「経験してみたい死因NO.1 ブラックホールに吸い込まれる」

っていうそれを、死なずに体験できてしまうんだとしたら、やってみたいじゃん?魅力的じゃん?っていう好奇心が再生ボタンを押させる、そういう感じ

固すぎて硬すぎて、むちゃくちゃ顎が疲れるんだけど、その先には極上の旨みが待っていることは一聴すれば分かっちゃうという目に見えるスルメアルバム

だって音が綺麗なんだよおぉぉ

こだわり抜いて作ったんだろうな〜〜〜そこには絶対に狙いがあるんだろうな〜〜〜と信じられるから、噛み続けられる

アゴはホントに疲れるけど

B'zの二人もそれをわかっていたからリポビタンDつけたんじゃねーか?

顎にリポD注射したいわ

 

というわけで、新体制のもとで作られた「新しい愛」

こいつを聴いた僕の感想

よろしければ付き合ってくださいな

では、まずは一番のお気に入りソングから

「兵、走る」


B'z / 兵、走る

ヘイヘイヘホー!!

ヘイヘイホー!!

ウォォォォオ!!!

というわけで、やっぱり一番のお気に入りは「兵、走る」

タワーレコードで今回買ったんですけど、店内放送で流れてた「兵、走る」の

押忍!

雄!!

っぷりに当てられて、帰路はダッシュ&TRY

ズザザザ〜!っとCDをPCにタッチダウンした

そんなツワモノ達は俺だけじゃなかったらしく

奥さん、お姉さん、もしくはスーツのおじさんもみーんな血走った瞳で

エイエイエイオー/

エイエイオー/

そしてお釣りを受け取ってすぐに初回限定クソでかパッケージを脇に抱えて全力疾走で走り去ってました

途中178人くらい吹っ飛ばしてた

そんな、NEW LOVE Tシャツをムリムリに纏った五郎丸みたいな連中が、日産スタジアムに7万5000人集まるわけです

B'zは国家戦力を有してます

 

まぁ、そういう冗談はいいとして

2番ヤっベェ

アドレナリンで脳天ドロリッチ

国民のエクスタシーポイントを確実についてきやがるよ

毎度毎度イイ仕事していただき、誠にありがとうございます

細かいところを挙げると

2番に入るときのちょっとブレイク入って、稲葉さんが

。゚(゚´Д`゚)゚。「浮かぇぁれるものなどひんなぁい」

っと続けて歌うのPERFECT VOICEケインコスギ感)

このニュアンスの色気…

さすがはTAK MATSUMOTO

いや TAK MATSUWAMONOと呼ばせてください

 

そんなこんなで、アルバム聴きましたが

んまぁゴッリゴリのハードロックアルバムだったわな・・・

それもかなり露骨にルーツが見える形で、ギターが引きちぎれんばかりにモリモリ暴れ倒している

「ギター鳴らすと速攻で曲を飛ばされる。 ギターを聴いてくれない」なんて言われているご時世に、一曲目から「メキャーンッ」ってスゲェな

「ワンクールのレギュラーより一回の伝説」とか言いながらストッキング脱ぎ捨ててダイブする江頭か

松本さん、消されますよあなた

DINOSAURとNEW LOVE

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まぁ、そんな今作ですけども、前作「DINOSAUR」の文脈上にあるアルバムとして聴いています

ここからは「DINOSAUR」がどういう意味を含んだアルバムだったか?ってところから始めようと思います

B'zはリリース当時

「まぁハードロックなんて古臭い音楽やってるの俺らくらいだよね! あはは!」

もう開き直りとも自虐ともとれる、そんなことをインタビューで言ってて

「どういう顔で聴けばええねん」なんて、戦々恐々だったんだけど

蓋を開けてみればこの言葉とタイトルからは想像できない快作

おまけにロッキンのパーフェクトパフォーマンスが映像として同梱されてて、目と鼻と口からパープル、ピンク、オレンジの涙が止まらない

そういうアルバムでした

B'zを集約するっていう点に関してはエゲツない完成度だったと思うし、それからあまり間が開かずに新譜リリースが発表されたので、次はこれを発展させるような作風で来るだろうな、と

しかも先行シングルも出さないというストロングスタイル

てなわけで、最新作「NEW LOVE」は濃いアルバムになるんじゃないかと想像を膨らましていたのですよ

そしたら濃すぎてファンが離れるじゃないかってくらい濃ゆいアルバムだった

聴いたら疲労感でグッタリしたもん

カタルシスがないといえばいいのかもしれないけど、この濃さと疲労感を説明するには今ひとつ説得力がなくて、色々考えてしまった

以下はそういう考察です

「THE ONLY SURVIVING  HARD ROCK BAND

世界中のストリーミングのチャート覗いてもギターロックがトップに食い込ん出る国がまぁない

トップはほぼヒップホップにラップトップミュージックで埋まってて、それもだいたい鼻づまり声でフガフガラップしてるんだけど、どれもこれも身軽で洗練されててホント聴き心地がいい

そういう音楽を聴いたあとにギターサウンドがモリモリ鳴らされてる音楽聴くと、「芋くっさ!!」ってなる

それくらいロックはなんというか、大衆音楽としての輝きを失ってる

 

そんな中で日本チャート最前線で、元気モリモリの70’sハードロックやっているのはマジでB'zくらい

だからこそ「古臭い、絶滅危惧種」ってニュアンスでのDINOSAURを作ったわけで

ただね、 

逆に言えば、これはハードロック=B’z

そういう状況になってきているわけで、ひょっとするとB'zはそこにモチベーションを見出してるんじゃないかって

ある程度の大衆性を犠牲にしてでも、濃いロックアルバムを作ろうとしているんじゃないか?と思い至ったわけです

ロックをめぐる嫁姑問題

というのも昔からのファンの方とかだと身を以て知っていると思いますけど、

「B'zは商業ROCKだ! あんなのROCKじゃない!! ロックを穢すパクリ野郎だ!!」なんて長らく言われ続けてきたグループ

ロックインジャパンからは2017年のフェスに出るまでの30年近く完全無視され、

あらゆる洋楽、邦楽ロックファンからはその在り方にケチつけられるこの状況

B'zからしたら嫁ぎ先の姑がめちゃくちゃ口うるさいようなもんで

「あんたの作る味噌汁は味が濃すぎる! ダンナが健康悪くしたらどうするの!!」

「うちの財産が狙いなんでしょ!? この泥棒猫!!」

アレすればこうだ! こうすればアレだ! なんてネチネチと粘着してくる姑がずっといたらそりゃ実家にも帰りたくもなる・・

というわけで、B'zは邦楽勢と絡むこともせずロサンゼルスで年上、同世代の洋楽連中とばっかつるむようになった

 

そういう状況が20年以上続いていたんだけど・・・・

姑が消えた

前述の通り、ロックで稼げなくなってきた

口うるさいロックンローラーたちは年老いてロックへの熱と影響力を失ったし、同時に代謝が進んで「B'zを聞いて音楽を始めた!」っていう世代が活躍し始めた

「B'zが好きって言うのは恥ずかしい」って言う風潮が薄れてゆく

加えて集客力があるので、水と油だったロッキンフェスとか雑誌のインタビューにも呼ばれるようになった

つまり、姑がどっかに行った

いびられ続けてきた、嫁はどう思うでしょうか?

・・・・・・・

ぃぃいひゃっはあああああああ!!!!!! 

私の時代じゃぁぁぁあああああ!!!!!!

 

あのババアが使ってた部屋も自分で使える!!

むしろ私が使わなくちゃ勿体無いじゃない!! 

オホホホホホホホホホホホホホwwwwwwwwww

 

凄まじい開放感でしょそりゃ

んで、ロックインジャパンフェスティバルの冒頭

B'zは自分たちをこう説明するわけですよ

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よっぽど傷ついてたんじゃないの、コレ

相当根に持っているように思うんですけど

でも、ニューアルバムのタイトルが「嫁姑問題」だとアレだから、「新しい愛」なんて爽やかに言い換えてんじゃ…

 

まぁ、さすがにここまで歪んではいないでしょうが、ここにきてB'zのお二人に「ハードロックの魅力を伝える」という使命、大義名分が生まれたんじゃねーかと

誰かがハードロックの魂を繋いでいかなくちゃいけない

自分たちにはそれだけの技術と体力がある

でも、やるなら今しかねぇ

B'zの二人、もう60目前ですからね・・・ 

何年も土の中にいて、やっと解放されたってのに地上に居られるのは7日

そりゃセミだって必死にミンミン叫びますよ

MARSとNEW LOVE

そんなこんなで、己のルーツとしてのハードロックを見つめ直して、むき出しの主張をこの「NEW LOVE」に込めたB'zですけど、じゃあなぜそのジャケットは「宇宙飛行士と地球」なのか

LED ZEPPELINのベストアルバムのオマージュというのもあると思いますが、

B'zに宇宙に関わるモチーフが度々現れるとき、それはバンドとしてのルーツに立ち返ったことを指すのではないかと僕は考えています

例えば

MARS

THE CIRCLE

MARSではロックサウンドと英詞を前面に打ち出し、ロックの先人達に己を重ね、これまでのキャリアになかった新しいB'zなりのロックスタイルを模索していく契機となったアルバム

Mars

Mars

 

「THE CIRCLE」ではソロを経て「バンドとしての回帰」した自分たちを太陽信仰、輪廻転生になぞらえて歌っています

THE CIRCLE

THE CIRCLE

 

 「MARS」を出した頃のB'zはスタイルが定まっていなくて、火星を探索するような気持ちで自分のルーツを探っていたのでしょうが、

「NEW LOVE」にはそういう暗中模索感はない

  

さらにDINOSAURで30年分のB'zを綺麗にまとめることができたからこそ、

宇宙飛行士が母なる星である地球に降りていくような安心感をもって、ロックという「真っ赤な大地の聖なるワレメ」に原点回帰したんじゃないか

イーストブルーが生んだ海賊王

そしたら世界のロックレジェンドクラスのサウンドができちゃったっつー…

「Da La Da Da」はツェペリンのライブアルバム『Celebration Day』のサウンドを彷彿とさせるし、

それはただ思い出させるとかそんなレベルじゃなくて、これレジェンドクラスに肉薄してるんじゃね?ってくらいの迫力

聴けば聴くほどLed Zeppelinっぽいんだけど、「BLACK DOG」のような「Kashmir」のような「Good Times Bad Times」のような… よく分からんけどこのダサさは間違いなくB'zである

という不思議な塩梅 

Da La Da Da

Da La Da Da

  • B'z
  • ロック
  • ¥250

Black Dog

Black Dog

これってスゴくない? いや、マジで凄くない?!

もう古典ではあるから、それなりに文法が出来上がってるのかもしれないけど、したって高等テクニックなんじゃないかなコレ

多分、守破離でいう「離」の境地

「今の収録環境で当時のジミー・ペイジが新曲を鳴らしたらこういう音になるのかもしれない」

っていう想像すらさせてくれる

古典芸術の復刻、いや再生だわ

ハードロック界のルネサンス

東京芸術大学とかで教鞭取れるんじゃない? 知らんけど

過去がどうであれ、オレはこの仕事をパクリなんて絶対言わせない

この通りね、言っちゃうとB'zはハードロック界のラストフロンティアの一つなんすよ

イーストブルーでメマーイダンス💃踊ってた青年が、今やラフテルにたどり着いた海賊王です

本当にすごい

稲葉さん 物申す

稲葉さんの歌詞のスタンスにも、色々気になっていることがあって

今まではだったら「ヤジばかりとばすヒマジンに無視を決め込んで、B'zの輪っかのなかで気持ち良くなろうぜ!」

とか言ってたところを

今作はヒマジンに対してもガッツリ歌詞を割いて「好きなだけ言えよ!笑えよ!」

と吠えに吠える

特に顕著なのは「MR. Armour」

MR. ARMOUR

MR. ARMOUR

  • B'z
  • ロック
  • ¥250

Van Halenの「You Really Got Me」なんてど直球のナンバーをチョイス

「Da La Da Da」ほどの捻りもないから余計に「パクリだ!」なんて声が聞こえてきそうなんだけど、そういう声を見越してなのか歌詞で「センスないとか何様だよ」なんて煽ってるからさ、歌詞カード読んでてビックリした

なんだか稲葉さんらしくない

 

ちょっとこんな場面を想像してみて欲しいんですけども

あなたは津山高校の1年生

津山高校 軽音楽部の活動が終わって、今日憧れの稲葉先輩と下校してるとするじゃないですか

そしたら前からやってきたヤンキーに絡まれてしまって、殴られたくないから俺がニコニコ媚びへつらうんですよ

「へへ! すいませんw」とかね

でも普段大人しくて優等生の稲葉先輩(愛称 バッチ先輩)

「は? うっざ。つまんねーからどけよ」

とか突然言い出したもんだからさ

「ば、バッチセンパイ!???やめてくださいよ!!??」

ってなりますよ

「さ、先輩は腹減ると思ってもないこと言っちゃうんですよ! 悪気ないんですぅ!! ほらスニッカーズ食べて落ち着いてすださい…先輩どうしたんですか!?」

そんなこんなでとうにかヤンキーから走って逃げることができて、息を整えると稲葉先輩が続けました

「もう我慢したくないんだ」

「本当のことを言いたいんだ」

「今年から入った新入部員。 これからは彼らを応援して、僕は引退する。これからは君たちの時代だからね!!」

 

え?

今までだって十分若いじゃんか…

そんな、「俺たちの時代は終わりました」なんて言わないでくれよ…?

これからもティーンのハートをガツンと鷲掴みにするようなロックチューン書いてくれよ…!

俺は完全に動揺しきってしまう

そんな俺の動揺を察したのかバッチパイセンがクスッと笑ってこういうんです

「でも、もうそういうことへの興味はないんだ。新しい使命ができたんだ… そう、これはNEW LOVEなんだよ。 だから、君の期待には応えられない…」

バッチパイセン端正な顔が夕日に溶けて、眩しくて俺は目を細めるのです。

そしてハッと気がつく。

津山高校が誇る  無敵のボーカリスト 稲葉浩志の目尻にしっかりとシワが刻まれていることを

そう、バッチパイセンは60歳近いおじさんだったのです。

永遠の若さの代償として、吸血鬼の呪いにかかった先輩は津山の高校生として第二の人生を歩んでいた…

でも、己の本当の気持ちと使命を自覚したことで呪いが解け、本当の姿が夕日の前に現れたのです

しかし、それは死が差し迫っていることを意味していました

「先輩、行かないで… 行かないでください!!!」

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その言葉の意味を掴めぬうちにバッチ先輩の制服がゆらりと解け、無数の鴉が羽ばたていった

それらは大きな影を作り、墨のように黒い山並みの、さらにその向こう消えてしまった夕日へと羽ばたいていくのでした

「…うあわぁぁぁあああああああああああん」

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こんなふうに物語に置き換えて登場人物に委ねるでもなく、

今作は稲葉さんの本人の言葉としてストレートに歌われているような印象を受けました

なんというか、今までまじめにサラリーマンしてた父親が突然脱サラしてラーメン屋始めたような…

死を覚悟し、戦車を前に一人で立ちはだかっているような…

あまりに戦闘態勢むき出しなので、一聴したときの違和感がすごかった

「い・・稲葉くん!? 急にどうしたの?? 嫌なことがあったら聞くよ!!?」

とか割と本気で心配した

 

総評  第2の暗黒時代

というわけで、ぶっちゃけて言いますと

年齢を感じさせるアルバムでした

これを聴いてB'zファンになる10代はほとんどいないだろうし、そもそも新規ファン獲得なんて度外視で作った作品だと思いました

その開き直りっぷりは「7th Blues」に近い

でも、今のB'z的に「流石にコレじゃみんなついてけないかな?テヘ☆」とか頭冷やして「LOOSE」を作るようなこともしない気がするんです

だから、今後もリスナーをふるいにかけるようなアルバムを作り続けていくんだろうな、と思うと…

 

まぁ俺も「もう一度暗黒時代のB'zが聴きたいなぁ」だなんていってたけどさ

いざ食べてみると想像以上に歯ごたえがあって疲れた感じです

「頑張って噛み続けてみたら確かに美味しいけど、毎日食べたくないかも… 」的な?

ツルんとした卵の表面をズットなぞっていたいんだけど、ソレが途中で割れてしまっていて「アラ?」っと違和感が走る

そんな感じですね。 通して聴くにはチトしんどい。

う〜〜〜〜〜〜ん…

TAK MATSUWAMONO、ほどほどに走る

くらいが俺は好きかな…

 

というわけで、以上が「NEW LOVE」の初日ファーストインプレッションでした

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The 7th Blues

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