20.9世紀少年

花束を君に

「海の幽霊」「ナイロンの糸」-感想- 米津とサカナで海鮮丼

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梅雨が深まっております

そんななか、5月の暑さが嘘のように涼しかった今日ですが、いかがお過ごしでしょうか

体調を崩さないように気をつけていただきたいところでございます

 

ところで、僕はですね、防滴イヤホンを買ったんですけど

Powerbeats3ってやつ

雨の中でもへっちゃらな上、濡れた肌から滑り落ちないようにイヤーフックもついているので、梅雨の雨の中でも歌って踊れるんですよ

最高です 

 

そんで何聴こうかなぁ〜なんてウッキウキでチャート漁っていたんですけど、”なんてったって”喋りたいのがサカナクション「ナイロンの糸」米津玄師「海の幽霊」ですよ

あいつら揃いも揃ってナンチュー曲書いてきやがるんだ

心と体が梅雨だく濡れ濡れ ドキがムネム


サカナクション / ナイロンの糸

いや、サカナクションとかいう名前からしリキッドピープルなバンドが、

この雨がかさばる6月に過去最強に水属性な曲書いてきてくれただけでハッピーなのに・・・

「ナイロンの糸」それだけでも梅雨が華やぐっていうのに・・・

「海の幽霊」・・・獲ったど〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!


米津玄師 MV「海の幽霊」Spirits of the Sea

圧倒的エンジェル・コマンド米津玄師まで水気ほとばしる新曲出してきやがってからに

Powerbeats3売ってWF-SP900買っちゃおうか迷ったくらいの衝撃を受けた

SONY WIN!!

https://youtu.be/gmMbGrMilqE

・・・俺のこのヤラレた!!!感を例えるならばイカ漁」のようなものですよ

墨みたいに暗い海でしかないこの世界の中で、ヨネケンっていう光がパチパチ煌めいているのを想像してください

イカたちがズリュズリュズリュと群がってきますよね? 

感光イカ野郎だから俺は嬉々然として群がりました、はい

そこを置き網漁に来た山口一郎が「ナイロンの糸」で一網打尽。みたいな

THE TRAP

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つまりそういう容赦のない曲書いてきてくれました。すごい

この二曲でプレイリスト組んでエンドレスリピートしています。ハッピーセット

 

ところで俺がヨネケンと山口一郎に抱くイメージはというと、前者が泳ぐイカを微笑みながら眺めている一方で、山口一郎はウヒョーっ!とか言いながら釣って速攻で醤油かけて炙ってる、そんなイメージ

その脇でヨネケンはイカ墨で今年の抱負を一筆したためそう

「もっと人に会う」とか書いてそう

「ナイロンの糸」

2013年に「sakanaction」出してから6年

小出しに曲は出ていたし、どれもこれも濃い曲だったので忘れかけていたのですがアルバム単位で考えると寡作に感じるパラドックス

なぜこんなにブランクが空いたのか?について考察した記事があったんですけど、この通りだとしたら新アルバム「834.194」は相当な完成度なんだろうな、と

basement-times.com

そういう期待値の高さを全く裏切らなかったもんね・・・「ナイロンの糸」

イントロのクリーンなギターサウンド・・・これ本当にギターの音なのかしら?

タイトルの「ナイロンの糸」を踏まえて聴くと、あの青い繊維に水がキラキラ光っているイメージが浮かんでくる

そこに、糸から滴り落ちて跳ねる情景を思わせるリズムとクラップ、落ち着くホワイトノイズ

最低限の音と言葉でスッと・・絵が頭のテッペンから腑をすり抜けて足の裏まで落ちる

横切る車も邪魔するものがないアクアラインを、雨の中ひとり車を走らせているかのような洗練されたイントロ

なんだか、妄想がふわふわと浮かんできたぞ・・・(ホワンホワンほわ〜〜)

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・・・とある者が、大事な人を失った辛さを紛らわせるために、あの真っ直ぐな道を車を走らせていた

視界が滲むのはフロントガラスに打ち付ける雨粒のため・・だけではなく。

己の迷いと雨粒が視界を曇らせるたびに、ワイパーがゴウンゴウンと車に鞭を打つ

弾いた水滴が脇のパワーウィンドウへと逃げて、滑って消えていく

車は加速してく

涙がナイロンのパーカージャケットに染みて、消えてく

車は走りつづける

雨のアクアライン

 

・・・そんな妄想をしたい、ってかさせてくれ

「海の幽霊」

そういう気分のまま「海の幽霊」流すとね… 幸せになれますよ

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走る車は「海ほたる」へ続く海底トンネルへ

オレンジのナトリウム灯が、なぜか灯っていない

「停電だろうか?」

道は暗闇を進む

海の下へと沈んでいく道を、フロントライトただ一つが照らす

 

そんな状況に置かれたら、どんなに短い時間でも長く感じると思うのですけど、

例えるならば「ナイロンの糸」のアウトロからの無音の体感時間はそれくらい長ぇ

でもずっっと続いて欲しい気もしちゃうマジック

では、そこに「海の幽霊」をかけるとどうなる?

ほらほら、イメージ浮かんできた・・・(ホワンホワンホワン・・・)

 

ーイントロー

暗かった道がだんだんと青く染まっていく

見回してみると、コンクリのトンネルだと思っていたそこは、読んで字のごとく海の底を脊椎のように伸びるオパアルの海底トンネルであった

滲むような微妙な明るさはどこからくるんだろうと思っていたら、青の燐光がチラホラ暗い水底を揺らいでいる

海ほたるが

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海流に乗ってポツリポツリと前から後ろへと降っていくその様をぼんやりと眺めていると、海底を走っているのに空へと登っているような感覚に襲われてくる

あまりの美しさに見惚れていると、光の粒が凄まじい勢いで行先のただ一点に集まり始めて、どんどん明るく明るく轟々と光の矢が迫ってきた

 

ーサビー

 

ドカーーーーーーンと水しぶきをあげるその先は光溢れる摩天楼!

マンタやらサバの魚群とか、クラゲやらがキラキラ輝きながら、人類がまだ知らない巨大海棲生物の化石に沿って暮らしていて呆気にとられる

今更ながら、そこは海の底であることに気がつく

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もうハンドルなんか握ってやいないけど、車は光の中をぐんぐん走って走って幻想世界をRUN AWAY

「この海に居たい」

心の底で淀んでた本音が、強がって散らした涙の言葉が漏れ出して、嗚咽する

 「この海に居たい いいだろう」

ハンドルに持たれた額がクラクションを鳴らしたその瞬間

合図を待っていたかのように魚たちが集まりだす

突っ伏しているので、光る魚影が像を結び始めていることに気がつかない

それは次第に人の形を成すけれど、海流に揉まれて輪郭がブレつつ、ググッと力を込めて一つになる

あまりの眩しさに涙で濡れた顔をハッとあげると、貴方は言った

「風薫る砂浜で また会いましょう」

気がつくとトンネルを抜けていた

雨は上がり、ズッシリとした雲は去り「海ほたる」が白く輝く

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夢だったのだろうか?

自分しかいないと思っていたアクアラインは、家族を乗せたワゴン車で賑わっていた

車の数だけ未来があった

未来が走っていた

あれは夢だったのだろうか

腹が減ったので海鮮丼を食べ、展望デッキで方杖を打つ

すっかり晴れた水平線の向こうへと、夕日が沈んでいく

来たる夜に備えて、スカイラインの終着点である木更津が灯りはじめる

あの魚たちは今もこの東京湾のどこかに住んでいるのだろうか

いい加減寒くなってきたので、駐車場に停めた車へと戻る

車内は信じられなくらいに現実の匂いがして、また寂しくなる

前方に停まっていたワゴン車のエンジンがかかり、スロープを下っていく

後部座席の窓からこちらを覗きこんでいる子供と目が合う

「・・・また会いましょう」

 

という妄想が駆け巡るくらい最高

いやー、素晴らしいっす、この二曲の組み合わせ

にしても、米と魚ですもんねぇ・・・

朝飯じゃん・・・・JAPANESE BREAK FIRST

例えるなら、「すき家の朝シャケ定食頼んだら、店員が米津とサカナクションだった」みたいなお得感

山口が「新宝島」に体を酔わせながらシャケ定運んできて「多分、鮭」とかボソッと言いつつ

米津がポッピンアパシーばりに繊細な指使いでレジ打ってそう

そんですき家レディオのめっちゃいい声で「朝はシャケとご飯で元気モリモリっ!!」

誰もが納得の元気モリモリ

 

というわけで、「ナイロンの糸」と「海の幽霊」の感想でした

どうせ今頃、来たる蒸し暑さをゴックンゴックン蓄えているのでしょうから、

この2曲に情動を潤おしてもらいつつ、早起きして吉野家の朝定食食ってこの梅雨を元気に過ごしたいです

たまには今がチャンスとばかりに雨に濡れてみるのもいいもんですよ

 

では、また会いましょう

 

ナイロンの糸

ナイロンの糸

海の幽霊

海の幽霊

  • 米津玄師
  • J-Pop
  • ¥255