20.9世紀少年

花束を君に

これが初恋 12/5 HIKARU UTADA Laughter In The Darkツアー感想

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追記 iTunes配信スタート!!やったぜ

宇多田ヒカルの20周年を記念して開催されている”Laughter In The Dark”ツアー

行ってきましたよ

8年待ったわもう

ヒッキーがヒッキーし始めてから8年ですよ

2010年の活動休止前夜に開かれたライブでは「さよなら」のGoodbye Happinessとともに幕を上げ、「時間が経てばわかる」と言い残すtime will tellでマイクを置いた宇多田ヒカルパイセン

あのPVのバイトの先輩感は確実に俺の異性の好みを決定づけたよね

 


宇多田ヒカル - Goodbye Happiness

 

しかしながら、この曲を含む数曲を発表&ライブを開いたのち活動休止

ファンも本人にも復帰時期がわからないまま、8年もの長い間ファンの前に立つことはなかったのだ

 

それが、今・・・

 

やっと・・・

 

ご挨拶できる・・・!

 

戻ってきてくれた!宇多田ヒカル!!

12/5(水)HIKARU UTADA Laughter In The Darkツアー さいたまスーパーアリーナ2日目の感想じゃああああ

 

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まずは大まかな感想

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開演前 緊張感があった

独特な空気感

本当におかしなライブだった

孤児たちのキャンプファイアー

そんなライブだった

こんなに一人一人の間に小部屋が存在しているようなライブは経験したことがなかった

会場一丸となって盛り上げるんじゃなくて、演奏を頼りに一人一人が己と向き合い、何かを掬い上げようとしている、そんな感じだった

それは冷めている訳ではなく、静かに燃え上がっているかのようで、宇多田ヒカルっていう大きな炎を囲むように火種が無数に揺らいでいる、そんな熱気だった

曲が終われば、拍手

また拍手

宇多田さんが喋れば、固唾を飲んで聞き入る

一つ一つの火種を風にかき消されぬように、慎重に、抱きかかえるように

詩的すぎましたかね (テヘペロ

では行ってみましょう

あなた

 

あなた

あなた

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みんな宇多田ヒカルがあっさり現れ、歌い出したのでついていけてない

唖然として席に座ってポカンとしてた

で、ふと我に返って立ち上がり出したのが笑えて仕方がないです

俺もそうだったし笑

わかる

あんなに楽しみにしてたのに、本人の存在を信じられなかったもん

ホログラムじゃないっすよね?実はミラクルひかるとかそういうオチじゃないよね?

ほんとにみんな長く待ち続けたから

頭が追いついていない

宇多田ヒカルが歌っている

目の前で、俺らの前で

みんな手拍子をパチパチとしつつも、そうやって手を動かさないと状況を整理できなかったなんじゃないかな

 

ところで一曲目があなたなのがグッと来るんだ

「Fantôme」ではなくて「初恋」から

ステージを飾るLEDディスプレイが青空と夜空の境い目、一番綺麗で凛々しい夕空を映しだしていた

ああ、もう青空じゃないんだな、って

ヒッキーは次のフェーズへ進んでいるんだとふと気がついて、うるっときた  

道

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でも、やっぱりこの曲も聴きたかったよ 

活動再開後1枚目のオリジナルアルバム「Fantôme」の始まりを飾る一曲

流麗でオリエンタルなイントロが流れ出した瞬間に、ドッと宇多田ヒカルが戻ってきたという実感が湧いてきた

この曲がなかったら、宇多田ヒカルの存在をまだ飲み込めなかったんじゃないかと思うくらいです

この曲のベクトルがどこに向けられてるのかと想像すると、1人の人物が浮かんでくるのは僕だけじゃないはずだけど、この会場で奏でられるみずみずしいサウンドは、その人物と僕らを一緒に内包したあの会場の気配、空気に対して向けられていたと信じてる

でもきっとそこにあなたがいる

ヒッキーはファンらを迎え入れてくれたのかもしれないな、温かみを増した歌声をこの会場いっぱいに満たそうと、全力で歌ってる姿を見たときそう思った 

もう泣きそう

個人的な好みとして、バックでチキチキ電子音なってるのが心地いいんですよこの曲

ところで俺はこの曲聴きながらずっと「オン..」とか合いの手してたんですが、はっきり行ってキモかったと思います

traveling  

traveling

traveling

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キタァァ!! 

実は会場入りする前にプレイリスト組みまして、道、travelingの流れが今の宇多田ヒカルっぽいかなって想像してたんですけども

割と当たってて、俺はもしかして宇多田ヒカルと通じ合ってるんじゃないかなと勘違いしそうになりました

やべえやべえ冷静になれベタかお前

ライブで演者がこっちを見たとか、ウィンクしたとか、だからなんだってんだ

まぁ、案の定この安易な優越感はその後のdeepな楽曲の数々と共に深い内省へと沈んでゆくことになるんですけど 

COLORS 

COLORS

COLORS

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うおぉぉ!

 これがくるか

ステージ全体を大胆にLEDモニターにしてしまった今回のステージ設計

色彩の深さが尋常じゃない

そもそも、俺が入場したときすでに照明は灯されていて、たかれたスモークが薫る中、ぼんやりと光る様が非常に印象的だった

まるで、霧とナトリウム灯に染まるロンドンみたいな、端正で落ち着いた大人の仕上がり

まさに今の宇多田ヒカルにぴったりなのだけれど、エレクトロ路線の曲であるCOLORSの鮮やかな情景もばっちり表現しきってしまう

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今回はフラッシュを焚かない、撮影録音専用機器禁止さえ守れば撮影OKでした

 Prisoner Of Love

Prisoner Of Love

Prisoner Of Love

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屈強なビートが会場を突き刺す

薄味ながらアレンジのバランス感覚をビシビシ感じられるのはオーマイガー!としか

音響スタッフの腕も良いんでしょうね、バッキバキのリズムに宇多田ヒカルの脆くもジューシーな、りんごみたいにパリッとした歌声が乗ることで、空間があっという間に支配されてしまった

「あなた」 ピアノジャズ

「道」 エレクトロ、ワールド

traveling」「COLORS」エレクトロ

 ときて、宇多田ヒカルの楽曲は本当に音が縦横無尽に自由に駆け巡る

そのうえで、省いて引き立たせる引き算の方法論を選択できるこのバランス感覚が、宇多田ヒカルを有数のポップシンガーソングライターたらしめている

でも、演奏隊と音響スタッフだってゴリゴリの腕利きが結集してバッチリ仕事しているので、どの楽曲も聞きたい音が聞き取れるし、もちろん宇多田ヒカルのミストのような歌唱を伸びやかに伝えてくれる

・・・贅沢すぎる

ぶっちゃけ、ステージ、音響、演者すべてが贅沢なのだから、これだけの情報量を一つにまとめるのが難しい

この曲に至るまで、まだ怒涛の展開に圧倒されちゃってて、宇多田ヒカルを肉眼で注視すればいいのか、リズム隊の堅硬さに舌を巻けばいいのか、照明と映像の妙に耽溺すればいいのか、混乱してた

宇多田ヒカルの機転と歌声なんてそう間近で感じられるものじゃないじゃないですか

実際8年間が空いたし

「やばいよ集中できてないよ〜! このままだとあっという間に終わっちゃうよ!」って必死になって自分の感覚を探ってましたねぇ

テイクマイマニー!!

Kiss & Cry

Kiss & Cry

Kiss & Cry

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続いてHEART STATIONから、「日清カップヌードル -FREEDOM-」のCMが思い出深い一曲

僕が宇多田ヒカルを明確に意識し始めたキッカケのひとつが、同じくFREEDOM プロジェクトに提供された「This is Love 」なので、この曲もセットにして聞きたかったと思うのは欲張りかもしれないけど 

やっぱりこの曲がぶっ飛んでることに変わりない

まずイントロ

テレーーーーーーーーデーーーンジャカジャカジャカジャカっブツッ||||...

いきなり映画で使われるフィナーレ音で始まったかと思えば、ずんどこビートが始まり、

 

不ー良もー優ー等ー生ーもっ(テンッ!)

先生も テレーーーー///

こー・いー・にー・落・ち・れ・(テンッ!)

おんなじぃよーね〜〜〜 テレーーーー///

 

おい歌詞が頭に入ってこねーよ!! 

ホーンが気になって仕方ないし、お兄ちゃんはインタネットだし、お母さんはダイエットだし、今日は日清カップヌードゥだし

酔っぱらってたんですか? 酔ってこの出来ですか? 

歌詞、サンプリング、展開どこを切り取っても「なんでそれ入れた?」って疑問が頭の中目まぐるしくtravelingするのに、宇多田ヒカル特有のポヨポヨした柔らかい浮遊感とできる女の軽妙洒脱さがバッチリ完パケされてる

 

背伸びしたいお年頃も

喧嘩が嫌いなオタクも

おべっかに疲れたOLも

音にうるさい評論家も

 

みんなにお勧めできるってすげぇっす

そもそも、ぶっちゃけ歌詞入ってこなくても全然楽しいのだ

何てった韻の踏み方、展開、予想外の連続だし、歌詞を理解すれば思わずお姉さん属性にキュンとしちゃうし、今日は日清カップヌードゥだし

 この曲でなんとか楽しみ方見つけられてきた気がする 

 

SAKURAドロップス

頭抱えたわちきしょう!! 卑怯だ! パンチ喰らっちゃったよ!

もうね、SAKURAドロップスPVの世界観をバッチリLEDディスプレイが表現しきってるんですよ


宇多田ヒカル - SAKURAドロップス

SAKURAドロップス

SAKURAドロップス

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こんな細かい繊細で生命感あふれるファンタジーな世界観を表現しきっていながら、 タイトルはダジャレて

好きで好きでどうしようもないです

この曲のハイライトは何って言ったってヒッキーによる演奏でしょう

執拗までに「すきですきでどうしようもない」って繰り返されるアウトロなんだけど、まぁ怖い。狂気すら感じるし、2002年の時点ですでに「あなた疲れてるのよモルダー」状態

今回のライブでは、この狂愛っぷりを表現するために宇多田さんがシンセサイザー?を一心不乱に捻ってるんですが

ブルルルルmにょもおんもにょのおおぶじゃzyざあああしじじゃsjぢあdキュえええブシャああああああああーーーーーーーー↗︎⤴︎↗︎↑

みたいな、楽器屋さんで気持ちよくなっちゃった楽器初心者みたいな状態になってる(よりによってその例えを宇多田ヒカルに使う?)

すっげぇブシャーーーーいってた

実際あれは楽しい

俺も思わず何とは言わんがブシャーしそうになった

なにこれ気持ちいい/// 

 光 (大見出し使いますね)

もう一度言います 光

光

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おい!!!マーーサーーーカーーーー!!!!!

観客は悟った

「あっ、この人殺す気だ」

何なら、数人死んでた

死んで飛び出たハートが一つに集まってキングダムハーツ完成しかけてた

さては真XIII機関だなテメーッ!!?

SAKUMARAドロップスの後に光???


宇多田ヒカル - 光

 

あふれる涙で皿洗えるんですけど

石鹸一片も残さない自信ある

みんな泣いてた

涙の洪水でした

あ、これバンプだった 

ルーララルーラー!! ルララルーラー!アーン!

 観衆が流した涙で水道代賄えるから、なんならここのみんなを養ってください

照明から光がピン・・・と暗闇の中から差し込んでくる

ルーララルーラー!! ルララルーラー!アーン!(泣)

 

しかし、ライブで聴くとすごくアコースティックでシットリした曲になるんだなぁ・・・と思った

原曲は、というか収録されてるアルバムDEEP RIVERは形而上的な、アガるんだけど何ともつかみどころのない曲が多いから意外に思った

宇多田ヒカルをこれから聴くっていう人には「single collection」とアルバムDEEP RIVER」「First Love」をおすすめするよ

ともだち

ともだち with 小袋成彬

ともだち with 小袋成彬

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一転、「Fantôme」から

原曲だと、後に自身初のプロデュースを手がける小袋成彬さんが参加していますが、今回のステージでは「Forevermore」PVを担当した振付師Fukiko Takaseさんと共演

MCでヒッキーが曲に移る前に「じゃあつぎ行ってみよー」って自分の言葉に吹き出して「タモリさみたいになっちゃった笑」ってくだり

みんな萌えてたよね

Fukikoさんとハグとかしちゃうし

みんな萌えてたよね

同性愛がテーマなんだけれど、俺はこれがとても好きで、一人カラオケではよくこれ歌います

引っ込み思案なもんで、恋愛や異性に限らずに好きなことを好きとのが苦手な捻くれた性格なものだから、とても響くんです

好きであることを、堂々と好きって言えたらどんなにいいんだろうね

復帰後の宇多田さんはこういう繊細なテーマにも挑戦したり、人を受け入れるキャパシティーが大きくなったんだと感じられて、「こうして人間活動が実っているんだ」と

そんなこと思っていながら、ステージ二人が怪しく絡み合うのを楽しんでた

 Too Proud

Too Proud featuring Jevon

Too Proud featuring Jevon

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最新アルバム「初恋」から、セックスレスを歌ったとかいわれてる曲

「ともだち」と来て、人とのすれ違いの痛みつらみが伴う楽曲が続く

 

以前、宇多田さんがインタビューで「この曲で今回やりたかったことのいくつかができたので気に入ってる」って語ってて、 実際にアジア新気鋭ラッパーを招待したRemix出したりと、聞けば聴くほど楽しめるので、ライブアレンジが楽しみだった曲の一つだった

原曲では、左右に狼狽えるようにベース音が揺れ動く中、宇多田ヒカルに続きJevonなるイギリスのラッパーがまくし立てるように本音をぶつける展開は、交際以前の問題を耽美的に吐露する「ともだち」と対照的で、結婚後の殺伐とした問題をアダルトにアクティブに表現している

ライブでは客演来るのかなと思ったら、宇多田さんによるラップが聞けてびっくり!

細かいリリックは覚えていないんだけど、「ビートたけし」とか飛び出てきたり、お笑いビックスリーコンプリートは、残す明石家さんまにかかっている

対談映像「又吉直樹&宇多田ヒカル

ここにきて対談?? 

え? 

ライブで対談映像見せられるって初めての経験なんだけど、これって俺だけっすかね・・? 

びっくりしたし、せっかく気持ちよくなったのに又吉? 

ちょっと違くないっすか? そう思ってた

ところがこれがとんでもない方向へと進み始めてカオスの極みでめちゃくちゃ笑った

 

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割る→笑いってこういうことですよね?

“laughの語源「割る」説”を超次元解釈し、「頭をカチ割る」ことにした宇多田ヒカル(35)

トイレに逃げ込む又吉laughter in the darkを何処と無く現れる魔法のガラスビンで執拗に強打しまくる映像が流れる

打撲音を鳴らす音響スタッフが仕事しすぎて、人を殺せる音がするから観客が呆気にとられてる

ってかこのひと躊躇いなく男子トイレ入ったな

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誓い

誓い

誓い

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近い

宇多田ヒカルが近い

目の前にいる

なぜか目の前で歌っている、、、?

...アッ

ジワ-...

映像が流れている間にセンターステージがせり出して宇多田ヒカルが現れたのだ

ケンシロウに見つかったヒャッハーみたいにビビってる俺

俺、へたり込んじゃってね

宇多田ヒカルが20mもない距離に立ってる事実に、膝が躊躇いなく力を抜いた

この感動を後ろの人にも感じてもらいたい、俺の後頭部が彼らの視界を邪魔したくないって感情すら湧いて、座ってしまった部分もある

多分そんな印籠を目にして「へへーっ」みたいな感覚で跪きたくなった人は俺だけじゃなかったらしく、次々に座り始めた

覇王色でも出てんのかこの人

リアルモーゼの十戒を目にしてしまった

掴み所のない拍子で一時期話題になったこの曲は来年1月に出るKHⅢに提供される予定で、今日英詞版「Don’t Think Twice」が先行配信スタート

ドラムパターンに注目して聴くと、スネアが1回また1回、その次に3回連続で鳴るまでワンセットとする規則性がつかみやすいので、カラオケで歌うときに参考にしてみてほしい

しかしええ曲だ

「ああ泣きたい」というフレーズに後朝の別れというか、高貴なお姫様を感じてしまうのです

まさかこれを目の前で歌われるなんて、予想外すぎて

ああ泣きたい

ここら辺からなんか、「簡単に通じ合おうだなんておこがましいこと考えてたな」って反省し出しちゃって変なモードに入り始めた

真夏の通り雨

真夏の通り雨

真夏の通り雨

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会場がピン・・・と静まり返る

一人一人の視線を鍵盤にして宇多田ヒカルが弾いているかのようだった

会場の呼吸そのものが演出・・・

みんな呼吸を読み合い、視線をただ一点に飛ばしていた

僕も固唾を飲んで見守った

それを宇多田さんがゆっくり、ゆっくりと360度に広がる鍵盤の感触を確かめるように、ぐるりと見まわしていく

みんな目を逸らせなかった

それが自分の役割だというように、会場が一丸となって紐帯を緩めなかった

喪失感は整理されないまま、観客を巻き込んで宇多田ヒカルの感情がどこまでもどこまでも温い水たまりに沈んでいく・・・

花束を君に 

花束を君に

花束を君に

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やはりこの曲と不可分だった

活動再開はこの二曲が告げたのだから

「悲しい歌も懐かしい歌になる」と歌うのは「道」だけれど、喪失の水たまりから顔を上げたら、一筋の光芒が見えてそこから花束が降ってきた

青いみんなの視線が一気に華やぐ

一人一人に花束を差し出すように、またもゆっくり見まわしていくヒッキー 

悲壮感はまだ拭えきれない、でも雨粒は自分で飲み込んでしまって、代わりに誰かに差し出すことができることこそ、優しさなんじゃないかと

それはとても難しいことなんだけれど、それどころじゃないって沈む方が楽なんだけど、他人(ひと)を我がごととして受け入れることができれば、繋がりを持つことから逃げさえしなければ、きっと花束は自分に差し出されるのだろうと

 

だから精一杯の、涙色の花束を君に

 

歌いきった瞬間の充実した表情を見せた宇多田さん

拍手が鳴り止まないよこんなの

Forevermore

Forevermore

Forevermore

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鳴り止まない拍手の中、イソイソとメインステージへ移動し始めるヒッキー

ところで、めちゃくちゃ良い感じのこと書いてたのにアレなんだけど、宇多田ヒカルめっちゃくちゃ背中綺麗

見とれて歌が頭に入ってこなかったからね

体引き締まってるし、肌綺麗だし

カッケェ・・・ 綺麗

綺麗・・・


宇多田ヒカル 『Forevermore』(Short Version)

 

この人はいつも本音を最小限にしかこぼさないんだけど、この曲では一層言葉を絞って「愛してる」と繰り返すし、PVでも宇多田さんは体を使って全身全霊で表現してる

「初恋」で1、2を争うくらい好きです

だからイントロ始まって思わずガッツポーズ!

愛している それ以外は余談の域よ

 俺もすぐに理屈をこねるんだけど、本来はどうだっていいのです

でも、人はそれを伝えたがるし、そこにエゴや損得が関わり出して本質を見失い、あらぬ争いすら喜んで顔を突っ込む

本当に、理屈なんてどうだっていいんだよ

俺はただこの感情を伝えたい

ブログを通して俺もそうしたいんだけど、結局余談で埋め尽くされてしまうよ・・・

なんなんだろう・・・この気持ちは

俺は果たして、本気で何かを愛したことがあったのかな

自分が愛だと言ってきたものは本当に愛だったのかな

 

First Love 

First Love

First Love

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記念すべきファーストアルバムから誰もが知る名曲

俺うなだれてた

もう、なんか「歌声だけで良いです・・・ 十分です」って・・・

15歳がこんな曲を作った衝撃は年を経るごとに重くのしかかってくる

 

「あれ? 自分ってなんて薄っぺらいんだろう・・・」

「何にもわかってない・・」

俺って恋愛をしたことがないのです

誰かのこと心の底から好きだと思ったことがない・・・

自分のことばっかりで、自分が一番可愛いくて、いつも余裕がない

それを長い間、「自分は分別がつくこと」だとすら思い上がったこともあって

でも、すっごく損しながら生きてると近頃思う

 

だから、顔を上げることができなかったし、顔を上げなくても宇多田ヒカルの歌声がそういう自分の本質をすくいあげてくるから・・・・ うん・・・

 

こんな切ない気持ちになるなんて・・・

 

 

してぇ・・・・

初恋 

初恋

初恋

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 ある種、原点に立ち返った一曲

First Loveで歌われた感情を、20周年を迎えた今、もう一度歌われる

 

一度きりしかない人生

初恋も一度しかない

年を経るごとに、その意味は重みを増していく

その重さが加わって、演奏の重厚さは凄まじいものでした

 

俺は・・・もうなんか・・・語彙力喪失

目を閉じ、ヘタリ込む

やたら自分の胸の鼓動が聞こえてくる

 

思わず座り込み、うなだれる

うるさいほどに高鳴る胸が

柄にもなく すくむ足が今

静かに頬を伝う涙が

私に知らせる

これが初恋と

 え・・・? これは初恋?・・・?誰に恋してるの俺・・?

人間なら誰しも

当たり前に恋をするものだと思っていた

だけど

 そう、でもそうじゃなかった

もしもあなたに出会わずにいたら

誰かにいつかこんな気持ちにさせられたとは思えない

宇多田ヒカルに・・・あなたに出会わなければ、こんな気持ちがあることに気がつくことすらなかったのかもしれない

自分の中にこんな感情があるだなんて・・・

え・・もしかして・・? え?  (ドキっ) 宇多田さん・・おいまさか

 

うるさいほどに高鳴る胸が

勝手に走り出す足が今

確かに頬を伝う涙が

私に知らせる

初恋と

これが初恋なんですか? あなたが「初恋」の相手ですか?

いいんですかこれで

涙が溢れてる

初恋か

 

 書いてて気が付いたんですけど、文字数が削られて歌詞が見事に「初恋」っていう一つの結論に収束していく、この曲の演出見事じゃないですか・・? 書いててビビった

Play A Love Song 

Play A Love Song

Play A Love Song

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 本編最後の曲

「初恋」のオープニングを飾る一曲

Hikkiが好きなように、自分らしく踊って歌ってくださいと語った後、粉雪が舞ったかと思ったら歌声だった

雪女だろこの人

この人守るためだったら邪気眼だって移植したい

 

長い冬が終わる瞬間 

 好きだって言わせてくれよ

Can we play a love song

 

うぐっ、、ううあ アググクァ

 

友達の心配や

生い立ちのトラウマは

まだ続く

僕たちの歴史のほんの注釈

 

ぼくのおやがいつからああなのかはしらないけど

君と僕はコレからも成長するよ

  

ありがとう

ありがとう

親がああだからって、自分の可能性に蓋してしまう経験はみんなにもあると思う

俺だってそうだから

でも、自分の感覚を信じていいんだよ

君は君なんだから

ヒッキーがそう言ってくれているようで、荘厳なサウンドに乗せてヒッキーが粉雪みたいなブレスのシャワーを会場いっぱいに振りまいてくれる優しさとしなやかさに俺は・・・ここに来て地獄の釜が開いた

ふと周りをみると、みんなの表情に一切の緊張はなかった

みんな柔らかい表情をしていた

 

親との関係性を永遠のテーマにし続けてきたであろう宇多田ヒカルの口から、復帰後の曲からこんな・・・ 

うんぁ...

ああン

ありがとうありがとうありがとうございます

 

そばにおいでよ

どこにもいかないでよ

いかないでよ

こののきょくでさいごだなんていわないでよ

いやだよ

嘘だってつきたくなるよ

そうだ、きっと最後だなんて嘘だよ

だからもう一度ラブソングをかけておくれよ・・・

 

一礼したのち、宇多田さんは舞台の袖へ消えていった

 

アンコール

 

楽器隊がはけた後、一息ついたと思ったら、スタンド席がポツポツと光りだした

スマホを取り出して、フラッシュを灯し始め、それがウワァー!と広がり始めて会場いっぱいに星が瞬いているようだった

 

「うわぁ綺麗・・」

近くに座る女の子が思わずこぼす

俺も、なんとも言えない充実感に浸りなが、それをアリーナ席から見上げて、みんなで星空を眺めているような嬉しさが込み上げてくる

 

どこか寂しげだった休止前発売されたシングルコレクションのジャケットを思い出す

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孤立した星々が互いに結び合って星座が浮かぶようだよ

そんな観客の期待に応えてくれた演者がまたもステージについたとき、一斉にフラッシュを消したところがまた素晴らしいよね

 

俺の彼女

俺の彼女

俺の彼女

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 ラブソングがほしい、もっと演ってとは言いましたけれど、そんな漬物石みたいに渋く重い曲を不意に投げつけないでください

さっきまで雪見だいふく食ってたのに、いきなりバケツいっぱいのおはぎ渡されたら胃もたれするわ! 

 

交際以前の「ともだち」、結婚後の「Too Proud」だけでは物足りなかったらしく、今度は交際中のすれ違いを歌うらしい

 

ステージが怪し気な真紅に染まり、不吉なウッドベースが観客を暗く燻る闇にまたも引き摺り込んで行く

 

前述の二曲はゲストを呼ぶことで二人称を使い分けていたいたけれど、ある種この曲は「男を演じる」という宇多田ヒカルがやりたかった挑戦の一つなのかもしれない

 

真紅のステージに宇多田ヒカルの影が整然と並ぶ様は、過去のライブでのDevil Insideの演出が持つ邪な美しさに通じるところがあって、メチャクチャ好きです

 

また、「俺の彼女」を収録しているアルバム「Fantôme」が持つ一つのテーマ「整理されない悲哀」は、フランス語で永遠を意味する言葉と共に無限に発散していく

 

ここら辺が収束していく「初恋」と対極にあるかなと思いました

 

ちょっと面食らったわ

Automatic

Automatic

Automatic

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ファンキーなギターが観客を鞭打つ

いきなりホットでムーディーな名曲きたーー!

ごめーん!

この流れの意図はよく分からないよー!

でもんなこたぁいいんだよ

生でAutomatic聴ける喜びを有り難く存じあげとけよ

「自動的に! 」

よく考えると意味がわか...

イヤイヤイヤ考えるな感じろ! それ以外は余談の域だ! 

 

さぁいくぞ!

 

なハァーななかいめェのべヘェ るでじゅわキィをトォッタ   キミィ

 

うわーーー楽しい!

イッツオートマーティック!って合いの手打つだけで一晩開けられそう

 

Goodbye Happiness

https://itunes.apple.com/jp/album/goodbye-happiness/945464858?i=945464899&uo=4&at=10l8JW&ct=hatenablog

あっあっあっあっ

これはいわばファン、そして宇多田ヒカルの覚悟の歌

8年前、晴れ舞台に立つ幸せを手放して、生身の、ひとりの人間としての生活を送ることを決心したのかもしれない

周りの人がいつだって雲を払ってくれたから、いつも美しい青空を拝めたけど、晴れ渡る青空の先は掴み所も際限もない宇宙

ひょっとしたら自分として自立するためのアイデンティティを見失ってしまったんじゃないかと想像している

作品を通して人の感情の機微を感じられる鋭い感性を持っていたことから余計に、何かを学ぶ途中、実体を持った人と関わる痛み辛みを味わうことを割りに合わないと長らく思っていたのではないか?

でも、その先はとどまるところが見つからない空虚だったんじゃないか?

そこから、自立で立つために、時間が必要だったんだと思う

その後8年もの間にヒッキーにもファンにもたくさんのことがあった

希望も絶望も何一つとして永遠だと言えるものは見つけられなかった

子供騙しさ浮き世なんざ

僕らはずっと続くような幸せの中では生きていけないのだろう

先のことはわからないし、何も確約できないんだけど、今この瞬間に誓い、約束して、時にそれは嘘だったりするんだけど、その決心を決めなきゃ何も始まらない

その時が来たら絶望だって受け止めるしかない

幸せは幸せとして、胸に抱きしめたらそっと手放して、また来る絶望も胸に抱きしめ 

そうやって生きていくしかないんだ

だからGoodbye Happiness

この出会いと別れを受け入れていくこと

これこそが永遠の営みなんじゃないかな?

 

別れを告げる悲しい歌は、今は力強いアンセムへと生まれ変わっていた

 

また会えると胸を張った言うための揺るぎない決意を持って宇多田ヒカルは伸びやかに軽やかに駆け巡っていた

 

ありのままで生きていけたらいいよね

大事な時もう1人の自分が邪魔するの

 

屈託無く笑いながらそれを歌う?笑笑

だってもう会場を縛る緊張感は何もないでしょ

おもいおもいに気持ちを表現できる心地いい空間に仕上がっていたのだから

俺はというと泣いてた

なんならハートが体を抜け出して、会場を埋め尽くすキングダムハーツになってた

こりゃもうキンハー買うしかないぜ

歌い終わったのち、もうAutomaticで拍手してた

みんな拍手を辞める気が一切湧いてこない

それをニッと見つめながら、良い加減終わらないので吹き出すヒッキー

そのときの充実した表情がとても印象的だったのだけど、この表情を以前に見た覚えがあった

 

今年7月にプロフェッショナル 宇多田ヒカルスペシャルが放送されたとき、散々煮詰まった「Ghost (夕凪)」のレコーディングを収録メンバーに任せるくだりがあった(これは究極の個人主義である宇多田ヒカルには非常に珍しいこと)

そして、3年以上ものあいだ悩みのタネだったこの曲のイメージを”他人“が拾い上げてベストテイクをだすという出来事に対して、なんともいえない充実した表情を見せたのだけれど、まさかその顔を“僕ら”に向けてくれるとは思ってもいなくて

嬉し!!!!!

本当に観客冥利につきますよ

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NHK プロフェッショナル 仕事の流儀で見せた表情

拍手しかない

この場にいた全ての観客、スタッフ、サポートメンバーに拍手を送りたかった

こんなにも納得のできるライブは滅多にないです

ありがとう

終演

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なんてったってこの日は平日

みんなにはまたいつも日常が待ってる

こればかりは現実ってやつですね 電車を逃すまいと早足で帰る

俺はというと翌日休みにしていたので、惜しむように会場にへたり込んでた

整理が全くつかない 誰かと語り合いたい

ぼっち参加はもう二度としたくないなぁ・・・・

 

終わり